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2017年7月10日

テスト記事

テスト

8TR残田

「時雨とエヴィルは致命的な一撃を見舞う」

Shigure & Eville are Leading Deadly Strikes

原案:小西
(原テキスト)

最近のブームは盾マスターの盾談議。

「くくっ...。我が家宝の竜紋盾。この巨大さをもって半身を隠す。また自在に構えるこの膂力をもってすれば、いかなる剣も槍も我が身を傷つけること能わず!」

「ほぅほぅなるほど。確かに左半身はほぼ盾に隠されている。半身になれば、盾に隠れないのは右手の短槍と覗き見る目くらいか。
これは確かに狙うのは難しいだろうなぁ。こっちが攻撃モーションに入ったら頭ひっこめりゃいいんだし」
「ほほぅ、魔導士。勇猛さを介さないような輩にもこの盾、そして我が業の偉大さが理解できると見える」
「戦術に勇猛さが必要とか初めて聞いたわ。メモメモ。...それで、偉大なワザ?ってやつだが...そうだなぁ、ぶっちゃけ、それをしのぐ達人なんて幾らでもいるし、早い話が目の前にいるし」
「小娘でも剣を持って眼前に立てば敵。
物の数にもならんが我が功の端にでも並べてやろう」
「とりあえず、口上としてはこんなもんでいいかな」
「...え?
てっきりエヴィル君がやるのかと思ってたよ」
「いやいやどう考えても俺様が圧勝しちゃうだろ。面白くないだろ」
「面白いとかどうとかそういう話かなぁ」
「...なんなら二人同時にでも構わんぞ。まず小娘を片付けてから、遠間にしか立てない魔導士を始末してやろう」
「うわぁ、策にすらなってない希望的妄想っていうか」
「うーん...結局、私がやるのかな」
「時雨君の方が近い」
「ちょっとひどくないかな、それ。...まぁいいや」
と、何の力みもなく刀を抜く時雨。
構えも取らず、ついっと落葉を持ち上げる。
盾自慢は油断なく盾を突き出し、自らの体をその後ろに隠す。

何の合図もいるまい。
しかし、イマイチ知性の感じられない会話に退屈を覚えていなエヴィルは、あくび交じりに足元の小石を蹴った。

かつん

がらん。
結果として、元盾自慢の眼前に時雨は立ち、落葉をゆっくりと鞘に納めており。

男が構えていた盾は、真っ二つに割れて、地に落ちていた。
「そもそも、絶対に盾が割れない、って話じゃないよね?」
「...いやいや時雨君。俺があんなに『隠れてる相手を狙うのは至難』って話を振ってるわけじゃないか。
その辺は拾ってくれるべきじゃなかろうか」
「できて当然、って流れを拾っても面白くないんじゃない?」
「そもそものお題がイマイチだった時点でダメかー」

元盾自慢、茫然自失。

確かに自慢するだけの事はあり、木板になめし皮、さらには鉄板を2層にも重ねた大盾であるからして、頑健さは今更語るほどのこともない。
傷をつけることはできたとしても、割るとは......いや、感触としては、「切る」とは。
彼の理解、想像の埒外だったのは言うまでもない。

時雨からすれば、動かない「板」をどうするか、など考えるまでもない事で。
速度がのった刃を最適な角度で接触させれば、どうとでも「切る」事はできるので。

「...エヴィル君の話にのるのはしゃくだけど、もう少し面白い事はできたかな」
「そうそう。的確に爪だけはがしたり」
「え。めんどくさい」
「さいですか」
「切るって事に固執せずに、爆発させたり、粉砕したり...まぁそういうのもあったかなって」
「『気』かー。それは後学のためにも見ておきたかったな」

元盾(以下略)は、完全に二人の意識の外に置かれてしまっている事を自覚していたが...流石に
「油断したなこのボケがー!」
と槍を突き出すほどゲスではなかった。
というより、さっさと逃げたかった。

...あぁ。なんでこんな往来で領民いびりなどやっていたのか。
ここにいなければこんな通りすがりの変な二人組になど関わらずにすんだだろうに...。

無我の境地に至るほどの集中力で、全力後悔してる男を背景に、時雨とエヴィルは「かっこ面白い盾の壊し方」についてあーでもないこーでもないを議論するのであった。

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このページは、8trが2017年7月10日 04:17に書いたブログ記事です。

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