まどぎわのひと「遠くて近い距離」感想 〜ガルパンエリみほ百合/レズセックス同人誌における液体という感情浸透率


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2018年5月21日(月)
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【同人誌情報】
サークル:まどぎわのひと (pixivページはこちら)
作者: なるかぜ
発行日 2017/12/30(冬コミ C93発表)
ジャンル ガールズ&パンツァー  18禁百合/レズセックス
カップリング  逸見エリカ(攻)×西住みほ(受)
シチュエーション:風邪をひいたみほをエリカがお見舞い→看病→告白・キス→レズセックス
傾向 いちゃラブ。みほへの慈愛に満ちたエリカ、過去のわだかまり完全解消済


※本文で、「レズセックス」を、テンション次第で「レズセ」と略記する場合が結構あります。





●客観的評価とレズセの狂おしい熱

 こんにちわ。永遠の百合カプ観測の昔ながらのhtmlタグ打ち個人サイト「ホームページオブ百合機械」、なんだか久しぶりの更新です。
 で、今年2回目の百合関係の更新は、以前より予告していた「ガルパン百合二次創作の動向」記事です。
「最終章」第一話を経て、2017年冬コミ百合同人誌と、二次創作ガルパンSS界隈を中心に見ながらの記事を更新していきたいと思っています。



 サークル「まどぎわのひと」によるガルパン・エリみほ同人誌「遠くて近い距離」ですが、わたしはメロンブックスの通販で買いました。
 このサークルのことは初めて知り、ぶっちゃけ表紙買いです。
 
 内容は、完全に直球のエリみほ百合。
 二人が黒い空間の中見つめ合う百合のまなざし。周囲には百合の花が白く咲いて……という、なんだかガチシリアス百合を感じさせる、百合力(ゆりリキ)の入った表紙です。
 しかし、本編漫画は、非常にあまあまのエリみほイチャラブレズセックスであります。
 いや、別に表紙詐欺とは言いませんよ。表紙の耽美なる百合の美しさを、エリみほの百合カップルとしての「画」としての美しさ・ねちっこい精神性を基調として表現しながら、
本編ではあまあまレズセックス、という構え。これが、誰を裏切っているというのでしょうか!

 ……ですが、本編の「作画」に関しては 、基本褒め調子のこの感想でも、公平を期すため言及せねばならぬでしょう。
 pixivでの本同人誌の宣伝ページで、「落書き漫画」と、作者・なるかぜ氏は称しておりますが
この本編漫画、途中のレズセックスパートから、明らかに作画の仕上げのクオリティが低下しています。

 具体的に言うなら、それまでの「看病」パートにおいての画風。
 なるかぜ氏の画風は、斜線による影や髪の描写を基調として、その上にしっかりと、彩度くっきりとしたトーンを張る、というアナログ系の漫画処理をしている画面なのです。
 しかし、レズセックスパートにおいて、トーン処理がまずなされていなく、そして斜線のクリアリングの処理も荒いです。その作画の荒さは、確かにこの同人誌の欠点です。

 たぶん、作画において修羅場って、時間がとれなかったんだろうなー、と思っていたら、
案の定、なるかぜ氏、後書きで書いているのですが、

「途中から適当になったのはちんちん付近に尿道結石が落ちてきたからです。」

と率直に書かれておられます。それ読んで、
「あーーーー」
 と、ド納得してしまいましたね。おいたわしや。残念でした。


 というか。
 一番悔しかったのは、なるかぜ氏に他ならず
以下で詳しく書きますが、「あまあまエリみほの濃厚なるレズセ描写を描きたいのだ!」という、熱い、濃厚なる百合/レズセへの情念が溢れるネームとなっているのです。
自分がこの同人誌を読み込んで、こうやって感想を書いてるのも、そのネームにおける情念が伝わってくるからなのです。


 ネームから見えるシチュ、描写、こだわり。そのコンセプトにズレもためらいもなく、「あまあまエリみほを描きたいのだ!」という思い。それは、非常に伝わってくる!

 ということなので、以下詳しく見ていきましょう。





●「看病」パート

 本作は、みほが風邪をひいて、エリカがお見舞いに来てくれる、というところからはじまります。
 なお服装ですが、

みほ:ダブダブ系ボコパジャマ 、フード付き
エリカ:白Yシャツにカーディガン(おそらく紺色だろうと思われる)

 という私服です。まずこのキャラデザに言及するなら、

・弱っているみほがボコパジャマを着て天然かわいさアッピル
・きちっとした折り目正しい服装のエリカ

 という対比がなされております。
 ここで、「きちっとした折り目正しい服装」ということで、エリカのもともとの生真面目さが表現されているのですが、
本作で大事なのは、その「生真面目さ」が」「みほへの慈愛 」と合わさっている、あまあまラブラブさなのですよ! ここは大事です!

 なにしろ、本同人誌のエリカの、みほに向けるまなざしは、終始、慈愛に満ちています。
「ああ……”もと”隊長でしたね」みたいな本編的皮肉はここでは一切なく、エリカのツリ目も、少しタレ気味で、真摯なまなざしの中に、暖かさが見えます。
この同人誌、作画が荒いとはいえ、百合の醍醐味たる「まなざし」の描写には一遍の手抜かりがありません!
 ……っていうかこの解説、まだ1,2ページめだぞ、大丈夫かオイ。


 さて、看病シチュということで、エリカが当たり前のようにみほを脱がせて体を拭きます。
なお、みほの風邪を、エリカが知ったのは、「秋山による、みほが私(エリカ)の名前をうわごとで呼んでるから」情報でして、このあたりのさりげない関係性の描写もオイシいものなのですが。

 で、服を脱がせてふきふき。

エリカ「黒森峰にいた時は着替えもお風呂も一緒だったじゃない」

 ……うん、うん。確かに寮生活である黒森峰で、二人は一緒だったわけですから、この発言は普通なものなんですよ。共同浴場とか、寮のベッドとかね。矛盾はありませんね。
  ……「矛盾がない」? カーッ!つまんないこと言うね!それは「情報」にすぎない。
 
 わたしたちは何だ? そうだ百合者だ! このエリカのセリフだけで、ナチュラルに浴場やシャワー室でイチャつく黒森峰時代のエリみほや、寮の同室でキャッキャうふふする黒森峰時代のエリみほをナノ秒単位で即座に妄想するのがおれたちだろうがっっっっっ!! そしてその友達以上恋人未満な生活が、やがて破れて、二人はすれ違って……夜な夜な、あの楽しかった黒森峰(としておきましょうよ)での思い出をエリカもみほも思って自慰にふける ……戻れないあの日々……お互いを意識しあい研鑽し合う生活……

 まあ、基本エリみほ百合っていうのは、こういう屈折 をどうしたって孕んでいるわけなんですね。だからこそのエリみほの美味しさなんですが。


 さて、体を拭いてもらって、普通のパジャマに着替えたみほ。
 なるほど、「普通のパジャマ」に着替える、っていうののシチュ的自然さ。
さすがにボコパジャマのままレズセに至っては、濃厚なレズセの世界がコメディ化してしまいます。この判断は正しいっ!


 そして、エリカへのお礼をして、そのままみほによる、エリカへの告白
 で、そこからの展開。


エリカ「す、好きってどういう意味?///(友達として?それとも……)(湯気立ち赤面」
みほ「う……それは……その…… ごめんなさい さっきのは忘れて……」
エリカ「突然好きって言っておいて忘れろですって? 言いたいことがあるなら最後まで言いなさいよ(みほに手を当てて迫る」
みほ「エリカさん?」
エリカ「ねえ みほ……」

(1ページ大ゴマつかってキスシーン)
(唇をはなす)

エリカ「これが私の返事よ!(勢いでやってしまった……)(困惑顔」
みほ「(涙をにじませながら)エリカさんらしいね」

 アーーーーッ!尊い! 王道の百合!テンションに任せてしまっている!これぞ恋よ!
上で書いた、黒森峰時代からの積年の思いを、勢いで突破して、思いを重ねるのよ!よかったね!エリみほよかったね!もう孤独な夜じゃないよ!ここからの暖かい日々がやってくるんだよ!

 そうだ、ここから自分がよくエリみほSSで読んでる「エリみほ大学生同棲シチュ」に何の過不足なくつながるんだよ!(例えばpixivのこのSSとか) 本同人誌ではそこまで描かれてはいないけど、
おれの中ではこの同人誌はエリみほ大学生編にまでつながる楽園への前奏曲と称すべきクロニクル!
 そこにロマンはあるのだろうか!?( サンホラじゃねえか)






●レズセックスパート


 はい、ここ(次のページ)からレズセックスパートに入ります。まずはしっかりキスから入ります。エリカ攻です。みほは涙をにじませて、よだれを垂らしてエリカのキスを受け入れます。

エリカ「みほ……辛かったら言うのよ?」

 逸見はやさしいなぁ。 ここで見せるエリカのまなざしは、終始慈愛に満ちています。みほが可愛くて、愛しくてたまらない、という。
 で、逸見の言葉攻めがはじまります。

エリカ「そういえば、普段ひとりえっちとかしてんの?」

 コラッ逸見! そこでみほは、

みほ「な……内緒(頬ぷくー」
エリカ「白状しなさい どんな風にやってるの?(みほの頬をつっつきながら」
みほ「(胸を揉まれながら)普通だよぅ」
エリカ「(胸を揉みながら本気になってきて)誰の事を想ってしてたの?」
みほ「(胸を揉むエリカの手首を握りながら)エリカさんを……いつも考えて」
エリカ「私も同じよ? みほを想って(ディープキス」

 よーしよしよし、軽く言葉で攻めながら、みほをリードするエリカであります。どちらかと言うとみほがヘタレてる受として、感じています。犬ちっくであるみほ受とも言えましょう。
そしてエリカのナチュラルな攻は、エリカの生真面目でありツン気味なキャラをあまあまに味付けした、大変よろしい塩梅 であります。


 ところで、本作のレズセにおける描写で、「液体」に関する描写が非常に濃厚で精細 であります。これは何度も言及したいところ。

・涙
・感じているときのよだれ
・ディープキスのときのよだれ(が糸を引く)
・汗
・愛液がパンツに染みる描写
・パンツを脱がした時に愛液がパンツに糸を引く描写
・エリカが指で陰部を愛撫するとき、「ぺろ」と自分の人差し指を軽く嘗めて準備する仕草
・みほの陰部に指を挿入したときの、愛液のほとばしり
・みほのクリトリスを指で執拗に愛撫するときの愛液
・逸見の愛液ジュース飲み干し
・逸見による、みほ陰部への舌挿入のときのぐっちょぐちょ(当然糸を引きます
・ぐちょぐちょにちゃにちゃ貝合わせ


 本作は作画が荒いと申しましたが、このように非常にヴァリエーション豊かな体液描写がなされておりまして、レズセの臨場感に非常に濃厚であります。
これは確実になるかぜ氏のレズセへのこだわりですね!頼もしすぎるぜ。
 それだけに、この体液もしっかり描写したかったんだろうなぁ、なるかぜ氏……尿道結石が悪いのだー。

 
 さて、本編レズセの解説が途中で止まっていました。
 ディープキスを経たエリみほ、いよいよ

みほ「(胸をはだけさせて、涙を潤ませて、汗かいて、よだれを垂らして)エリカさん きて……」
エリカ「(みほ!) みほから誘ってくるなんて(ダメだ……今すぐ抱きしめたい)」

 そして、エリカとみほは手を恋人繋ぎで絡ませあいます。さあ!レズセックスの醍醐味がここからはじまるのだ!


 まず、エリカはみほに、

エリカ「あんたは風邪ひいてるんだから 今日は私が気持ちよくしてあげる」

 と、自ら攻(リード) を宣言します。イェーイ!(喜)
 しかしみほも恋人たる矜持があり、またみほもエリカに対する愛情が溢れているので、

みほ「そんな……エリカさんも」
エリカ「風邪ぶり返したらどうすんのよ? ひとりえっち手伝ってあげるって言ってるの」

 まったく逸見は素直じゃねえなぁ!(喜)
 そんな逸見のツンデレっぷりと、慈愛に満ちた優しい攻が見事に調和しておりますぞ大佐!

 さて自然にみほを後ろから抱きかかえ、陰部に手を伸ばすエリカであります。じわじわと感じていくみほ。みほが身を震わせ、「受け(いじめてオーラ)」 を放ちながら感じるその様、エリカは非常に満足そうな顔をしています。
 また、細部ですが、「パンツ」と書かず「ショーツ」と表記する丁寧さも、レズセのテンションと美意識です。

エリカ「さあショーツを脱ぎなさい/手で隠さないで」
みほ「恥ずかしいよぅ……エリカさんのえっち……」

 エリカ攻めですねぇ。そしてここでさらに、

エリカ「ひとりえっちの時も指入れたりするの?(ぺろ←自分の人差し指と中指を舐めて濡らす)」
エリカ「(こんだけ濡れてれば指濡らす必要もないか……」

 うーむ、この攻としての余裕と、前述したように「液体」にこだわる描写のセクシィぶり。とても妖しく、エリカにはもう過去の屈託はなく、みほを思うこころの揺ぎ無さ。
 攻(タチ)としての安心感は、同人誌前半での「揺れ動く恋心」をきちんと乗り越えたからの、安心感ある屹立せし攻なのです。苦難を通り越して愛を!


 そして手技。
 みほの弱いところを丹念に攻めていくエリカです。
 やがてエリカもテンションがMAXになってきて、みほの唇を陶酔感で奪いながら(その際に再び指を舐めます。みほの唾液と唇の感触を確かめるように。ああえろす)、コトは手技からクンニへと至ります。

みほ「え……? エリカさん?」
エリカ「(みほの股を開かせ陰部に口をつけて)指だけじゃ満足できないでしょ?」

 そんなわけでしっかりじゅるじゅると飲み干すわけです。何を?言わせるな
 みほはそんなエリカの様子を

みほ「エリカさんがわたしのあそこワンちゃんみたいに」

 と表現します。
 「黒森峰の忠犬」と揶揄されてきたエリカ。しかし今やここではみほへの愛そのものとなり、みほへの性欲を隠すことなく真正面からぶつける愛の犬です。
 バター犬です。このあたりの「犬性の転換 」もまた巧みなる技です。


 ところで、このような「液体」にフォーカスを絞った描写であることは、それだけ「湿ったレズセ」であります。
 それはみほの陰部を「汚くなんかない、とても綺麗」と表現して、「これがみほの味……」と感慨深く。
 さらに「すごくえっちな匂い……お風呂入ってないからかしら」と、今回のシチュであるとこの「風邪っぴき病床」のリアリティにも言及します。
 つまり「お互いの体臭・性臭の淫靡なる味」を描写せんというなるかぜ氏の意欲です。 この作家はレズセを愛し、レズセから逃げない!

 
 いよいよ貝合わせ(レズセ本番)。
 エリカは「えっちするの初めてだから……上手くできないかも」と予めみほに告げます。それはみほをこころから大事に思うがゆえの言葉。
そして「私が動くからみほは楽にしてて」とみほへのさらなる心遣いをみせます。
 なんという攻としてのやさしさ。

 貝合わせを経るごとに、どんどんテンションは上がっていきます! エリカも夢中になって、涙さえにじませて、みほとセックス!セックス!
 辛かった日々を塗り替えんとす、魂の慟哭……いや、いまはレズセの奔流に身を任せる! 
 受たるみほも、エリカのそんな「本気の愛」を受け取り、感無量です。

みほ「エリカさん可愛い……」

 エリカは可愛い!だからこそ、みほはエリカとともにオーガズムを迎えることを望む!
 それはエリカも一緒!大コマを用いて、二人のカラミをしっかり描きます。
 

 そして最後はキスですよ……(余韻)

 みほ「ずっと一緒だよエリカさん」



 余(この感想の筆者)は満足である。





 ●あとがきページ、そしてこの文章のあとがきも 


 それで同人誌のあとがきページですが、例によってエリカはみほに風邪をうつされてしまいます。
エリカにボコパジャマを着させ、自分はあんこうパジャマですw
 
 みほ「幸せも不幸せも風邪も性欲も共有していこうね」

 これは「本編みほ」ではありえないセリフですが、しかしあとがきページだからこういうセリフもアリですね。
そしてここで書かれたその言葉は、まさになるかぜ氏が理想とするエリみほの姿と言えましょう。

 なお、あとがきで書かれているのは、涙の地獄尿道結石のことと、競馬予想。競馬に関しては自分まったくわからないのでナントモ……。Nagaleさんやまるまるさんだったら分かるんでしょうが……。


 さて、久々に「漫画の描写を全部文章化 」してみました。
 やはりこれだけ濃厚なレズセのネームの切られた漫画だと、やりがいもありますね。
 その分だけ、ちょっとこの文章のUPが遅れてしまったのは申し訳なく。

 なるかぜ氏のガルパン同人/百合/レズセ/エリみほの旅は、ここで終わるものではありません。実際、「ガルパンパチンコ合同同人誌 」を早くも発表され、次の一手を!という気概です。
こういった独自の視点と、まっすぐな想い伝える絵(それだけに、今回作画に手をかけられなかったことは無念でしょう)、愛あるネーム。

  液体は想いの証。情念は液体を通じてお互いに染みわたる。
 作画の荒さを経てなお、作者の熱い百合/レズセックスへの愛が伝わってくる同人誌でした。ありがとうございました。



2018/05/21 筆者:残響
(やはり百合はイチャラブですよ!)



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