2020/07/12 up
ボケラとしすぎなほうき星町の昼下がりにも、かろうじて知性はあるとかいうお話です。
我らがニート貴族、セリゼ・ユーイルトットは今日も暇を持て余しています。世界の暇人が昼下がりに足を運ぶといったら、書店であります。
カラカラーン♪(扉のベルの音)
セリゼ「そんなわけで来たぞレル」
レルエリィ「帰れ有閑貴族」
セ「お前、自分が何者だかわかってる?」
レル「有閑貴族」
カパッと口を開けてケラケラ笑いの様も上品なるはやはり貴族なりしか。
この方が、書店「懐中水時計」店主、レルエリィ・ヒルトハミット卿でありました。
豊かな流るる金髪、高そなおべべを洒落て着崩したオシャレさん。
ビスクドォルのよな顔立ち彫り深くして、眼光は夏の日差しのよに鋭く御座い。
セ「いつも思うね、何でお前は書店の店主なんぞやれとるのかと」
レル「俺の持ってる資産を全部、本にブッコんだっつーだけのことだ。誰でも出来る」
セ「出来てたまるか小僧」
レル「お前さんのけったいな【力】だって、大体似たようなもんだろう。リソースぶっこめば、大体、何かにはなれるだろう? 芹の字」
セ「そのあだ名やめろっつーてるのに」
レルエリィ・ヒルトハミットは愛書家である。レルエリィ・ヒルトハミットはもと貴族である。これは矛盾しない。
レルエリィは偶然、書物を愛した。ヒルトハミット家の財産の数割が、書物に消えた。これも矛盾しない。
彼は今、ほうき星町で、書店「懐中水時計」を営んでいる。